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奥野 泰希*; 石川 法人; 秋吉 優史*; 安藤 太一*; 春元 雅貴*; 今泉 充*
Japanese Journal of Applied Physics, 59(7), p.074001_1 - 074001_7, 2020/07
被引用回数:3 パーセンタイル:19.49(Physics, Applied)AlInGaP太陽電池における低エネルギー電子線照射環境における照射損傷を予測する際には変位損傷量法が用いられるが、原子変位しきい値エネルギーの設定によって予測値が大きく異なってしまう。したがって、妥当な原子変位しきい値エネルギーを設定することが不可欠である。本研究では、60keV電子線をAlInGaP太陽電池に照射し、P原子の原子変位しきい値エネルギーを正確に導出した。さらに、本研究で得られた原子変位しきい値エネルギーを利用して、太陽電池の性能劣化を予測できることも実験的に立証した。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 平尾 法恵; 本田 充紀; 和泉 寿範; 池浦 広美*
Molecular Crystals and Liquid Crystals, 622(1), p.44 - 49, 2015/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Multidisciplinary)分子配向は有機半導体材料の様々な性能を制御する上で重要な因子の一つである。一般に薄膜材料は様々な方向を向く微小配向領域の混合状態となっている。したがって、各々の微小領域において配向方向を選別して顕微分光観測できる手法が望まれてきた。我々は、光電子顕微鏡(PEEM)法と直線偏光性をもつ放射光X線や真空紫外(VUV)光を組み合わせる装置の開発を行っている。ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)導電性ポリマー薄膜を溶液法により作製し、偏光放射光励起によるPEEM像の観測を行った。また様々な偏光角度のUV照射下におけるPEEM像を測定した。放射光励起実験において各微小領域の硫黄S 1s励起X線吸収スペクトルが得られ、微小領域におけるポリマー分子配向の情報を得ることができた。またUV励起実験においては、偏光角度に依存して異なる微結晶層を選択観測することに成功した。実験結果はポリマーの特定の分子軸へ向いた配向領域だけを選択的に顕微鏡観測できることを示唆する。
柴田 優一*; 今泉 充*; 佐藤 真一郎; 大島 武; 大岡 幸代*; 高本 達也*
Proceedings of 11th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Applications (RASEDA-11) (Internet), p.65 - 68, 2015/11
次期の高効率薄膜宇宙用太陽電池として逆積み格子不整合型(IMM)三接合太陽電池の開発が進められている。最近、IMM三接合太陽電池に関して、放射線により劣化した特性が光照射により回復する現象が見いだされたが、その詳細は明らかになっていない。そこで、1MeV電子線を310 e/cm照射することで劣化させたIMM三接合太陽電池の光照射回復現象を調べた。その結果、3時間の光照射(AM0、1sun)によって開放電圧が43mV回復することが判明した。また、太陽電池中に残留する欠陥について調べるためにエレクトロルミネセンス測定したところ、InGaP, GaAs, InGaAsの三層のうち、InGaPトップセルのエレクトロルミネセンス強度が光照射後に増加していることがわかった。このことから、光照射による回復は、InGaPトップセル中の欠陥が回復したことに起因することが明らかとなった。
中村 徹哉*; 今泉 充*; 佐藤 真一郎; 菅谷 武芳*; 望月 透*; 岡野 好伸*; 大島 武
Proceedings of 11th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Applications (RASEDA-11) (Internet), p.73 - 76, 2015/11
量子ドット太陽電池の放射線劣化メカニズムの解明を目指し、ガリウムひ素(GaAs)半導体中に量子ドットを含むi層を導入したpin太陽電池の放射線照射効果に関する研究を推進している。これまでに、量子ドット太陽電池は放射線照射により曲線因子(FF)が大きく劣化することを報告しているが、今回は、そのメカニズムを明らかにするために、低エネルギー陽子線照射によって生成する電流(イオンビーム誘起電流: IBIC)を測定し、空乏化している量子ドット層内での少数キャリアの振る舞いを調べた。陽子線のエネルギーは量子ドット層に損傷が導入されるような条件とし、結晶損傷が蓄積されることで生成電流がどのように減少していくかを観察した。その結果、陽子線照射によって量子ドット層内に蓄積した欠陥に起因するキャリア収集効率の低下がFF劣化の主要因であることが明らかとなった。
佐藤 真一郎; Beernink, K.*; 大島 武
Japanese Journal of Applied Physics, 54(6), p.061401_1 - 061401_6, 2015/06
被引用回数:5 パーセンタイル:22.94(Physics, Applied)薄膜安価な宇宙用太陽電池への応用が期待されているa-Si/a-SiGe/a-SiGe三接合太陽電池の放射線照射劣化機構について詳細に調べた。シリコンイオン, 電子線, 陽子線照射による電気特性劣化をその場電流・電圧測定システムを用いて調べたところ、照射直後から顕著な回復が生じること、またそれが放射線の種類や温度によらず発生することが分かった。これは実宇宙空間での劣化予測において重要な現象であり、短絡電流をパラメータとして用いることで、回復挙動の予測が可能であることを明らかにした。さらに、入射粒子のエネルギー損失過程(イオン化エネルギー損失(IEL)と非イオン化エネルギー損失(NIEL))と相対損傷因子を解析し、電子線照射劣化に対してはイオン化線量が、陽子線照射劣化に対してははじき出し損傷線量が支配的なパラメータになると結論付けた。これは、一般的にはNIELに起因する欠陥生成(損傷)はIELよりもはるかに大きいが、電子線の場合はIELに対するNIELの比が非常に小さく、NIELに起因する損傷が無視できるためである。一方、シリコンイオン照射による劣化は、放射線の線質効果の影響を考慮する必要があることが分かった。
宮澤 優*; 池上 和志*; 宮坂 力*; 大島 武; 今泉 充*; 廣瀬 和之*
Proceedings of 42nd IEEE Photovoltaic Specialists Conference (PVSC-42) (CD-ROM), p.1178 - 1181, 2015/06
In order to clarify the possibility of perovskite solar cells as space applications, their radiation response was evaluated. Perovskite solar cells fabricated on quartz substrates were irradiated with 1 MeV electrons up to 110 /cm. As a result, the degradation of their characteristics such as short circuit current, open circuit voltage and maximum power was very small and some solar cells did not show any degradation after 1 MeV electron irradiation at 110 /cm. This indicates that perovskite solar cells have superior radiation tolerance and are a promising candidate for space applications.
島崎 一紀*; 小林 祐希*; 高橋 眞人*; 今泉 充*; 村島 未生*; 高橋 優*; 豊田 裕之*; 久木田 明夫*; 大島 武; 佐藤 真一郎; et al.
Proceedings of 40th IEEE Photovoltaic Specialists Conference (PVSC-40) (CD-ROM), p.2149 - 2154, 2014/06
ガラス型スペースソーラーシート(G-SSS)はインジウムガリウムリン(InGaP)とガリウム砒素(GaAs)によって構成される2接合太陽電池と、さらにゲルマニウム層を含むInGaP/GaAs/Ge 3接合太陽電池のふたつの太陽電池からなり、厚さが0.5mm以下の軽量太陽電池シートである。G-SSSは小型科学人工衛星「ひさき」(SPRINT-A)に搭載され、2013年9月14日に打ち上げられた。運用期間中に得られたデータからG-SSSは正常に動作していることが確認でき、本プロジェクトはIII-V族多接合薄膜太陽電池を用いたG-SSSの世界初実証実験となった。G-SSSの太陽電池は、高崎量子応用研究所での放射線照射試験等、様々な地上試験から予測されていた通りの優れた性能を示しており、新型軽量ソーラーパドルの実用化に貢献する成果を得た。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; 平尾 法恵; 本田 充紀; 和泉 寿範; 池浦 広美*
Photon Factory Activity Report 2013, Part B, P. 546, 2014/00
分子配向性は有機半導体材料の様々な性能を制御する上で重要である。一般に薄膜材料は様々な方向を向いた微小配向領域の混合状態である。したがって、各微小領域の配向方向を選択して顕微分光観測できる手法の開発が望まれている。我々は、光電子顕微鏡(PEEM)法と直線偏光性をもつ放射光X線や真空紫外(VUV)光を組み合わせる装置の開発を行っている。ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)導電性ポリマー薄膜を溶液法により作製した。偏光放射光励起により特定方向を向くポリマー分子鎖領域のPEEM像の観測を行うことができた。各微小領域の硫黄S 1s励起X線吸収スペクトルが得られ、微小領域におけるポリマー分子配向の情報を得ることに成功した。
山口 憲司; 鵜殿 治彦*
International Journal of Hydrogen Energy, 32(14), p.2726 - 2729, 2007/09
被引用回数:14 パーセンタイル:36.77(Chemistry, Physical)本研究では、FeSiを基とする材料により太陽光を電気エネルギーに変換し、これにより水を電気分解し水素製造を安価に行う新しい材料の研究開発活動を紹介する。この方法による水素製造は炭素を放出することなく、「環境」に対しても低負荷であると考えられる。本研究では、-FeSiなるシリサイド系の半導体材料に焦点を当て、太陽電池材料としての特性をSiと比較する。-FeSiは0.87eVのバンド幅を有する直接遷移型の半導体で、1eVで10cmという非常に大きな吸収係数を有するとされる。このため、素子の薄膜化が可能で大幅な資源的節約が図れる。本研究で紹介する-FeSiの製法はイオンビーム技術やナノ構造評価手法の発展的応用であり、これまでに100nm程度の高品位薄膜が開発されている。
Lee, H. S.*; 山口 真史*; Ekins-Daukes, N. J.*; Khan, A.*; 高本 達也*; 今泉 充*; 大島 武; 伊藤 久義
Physica B; Condensed Matter, 376-377, p.564 - 567, 2006/04
被引用回数:2 パーセンタイル:12.58(Physics, Condensed Matter)次世代の高効率多接合太陽電池のトップセルとして期待されるnp接合型AlInGaP太陽電池へ30keV陽子線照射を行い、生成する欠陥をDLTS(Deep Level Transient Spectroscopy)法により調べた。その結果、二種類の多数キャリアトラップ(HP1, HP2)及び二種類の少数キャリアトラップ(EP1, EP2)を見いだした。温度依存性よりエネルギー準位を見積もったところ、HP1はE+0.90eV、EP1はE-0.54eVであると決定できた。3MeV陽子線照射の報告と比較することで、EP1はリン空孔が関与した複合欠陥に由来すると帰結できた。さらに、照射試料に対し室温にて100mA/cmの電流注入を行ったところ、HP1トラップが減少し、それに応じて正孔濃度が増加することが明らかになり、電流注入による太陽電池特性の回復現象にHP1が関与すると結論できた。
大島 武; 住田 泰史*; 今泉 充*; 川北 史朗*; 島崎 一紀*; 桑島 三郎*; 大井 暁彦*; 伊藤 久義
Proceedings of 31st IEEE Photovoltaic Specialists Conference and Exhibition (PVSC-31), p.806 - 809, 2005/00
多接合型(InGaP/GaAs/Ge)太陽電池について、低温(175K)での10MeV陽子線照射及び電気特性測定を行った。310/cm照射により短絡電流,開放電圧,最大電力をそれぞれ初期値の77%, 77%, 50%程度まで低下させ、その後、光照射や電流注入が劣化した特性に及ぼす影響を調べた。その結果、AM0模擬太陽光照射では劣化した特性は変化しないが、暗状態での順方向バイアス印加により0.5A/cm程度の電流注入を行うと短絡電流,開放電圧,最大電力ともに回復を示すことが判明した。
住田 泰史*; 今泉 充*; 大島 武; 伊藤 久義; 桑島 三郎*
Proceedings of 31st IEEE Photovoltaic Specialists Conference and Exhibition (PVSC-31), p.667 - 670, 2005/00
宇宙用の高効率太陽電池として期待される三接合太陽電池の放射線劣化予測の新技術を開発するため、NIEL(Non Ionizing Energy Loss)解析から見積もられるダメージドーズ(D)をもとに劣化を予測する方法を検討した。InGaP/GaAs/Ge三接合太陽電池に対し、陽子線(50keVから10MeV)または電子線(1MeV)のみを照射した場合、陽子線と電子線の両方を照射した場合について、それぞれDを見積もり、太陽電池特性の劣化量とDの関係を調べた。その結果、全ての場合において特性劣化が同一の関係式で表されることが判明した。これより、陽子線,電子線及び両者の複合照射においてもDを劣化予測の指標として用いることが可能であり、実宇宙での劣化予測に際してNIEL解析が有効であると帰結できた。
今泉 充*; 住田 泰史*; 川北 史朗*; 大島 武; 伊藤 久義; 桑島 三郎*
Proceedings of 31st IEEE Photovoltaic Specialists Conference and Exhibition (PVSC-31), p.563 - 566, 2005/00
人工衛星つばさ「MDS-1」に搭載された地上用InGaP/GaAs二接合タンデム太陽電池の耐放射線性の実宇宙環境試験結果を地上試験結果と比較した。600日間静止トランスファー軌道(GTO)に投入されたタンデム太陽電池の電気特性を解析し、短絡電流(I),開放電圧(V)及び最大電力(P)を求めた。600日経過後の特性劣化量と地上での1MeV電子線及び10MeV陽子線照射実験の結果を比較したところ、1MeV電子線を基準とした等価フルエンス解析では、I, V及びPで照射線量に約一桁のズレがあるのに対し、10MeV陽子線を基準とした等価フルエンス解析では全てのパラメータで良い一致を示した。この結果は、GTO軌道では電子線より陽子線の存在量が多いことに起因すると考えられる。これより、従来は1MeV電子線等価フルエンスにより太陽電池の寿命予測を行ってきたが、投入する軌道によっては10MeV陽子線等価フルエンスによる寿命予測を行った方が正確に寿命予測が行えると帰結できた。
Lee, H. S.*; Ekins-Daukes, N. J.*; 佐々木 拓生*; 山口 真史*; Khan, A.*; 高本 達也*; 安居院 高明*; 上村 邦夫*; 兼岩 実*; 今泉 充*; et al.
Proceedings of 31st IEEE Photovoltaic Specialists Conference and Exhibition (PVSC-31), p.556 - 558, 2005/00
AlInGaP太陽電池及びダイオードへ30keV陽子線を照射し、太陽電池特性の変化及び発生欠陥を観察した。DLTS法を用い、欠陥を調べたところ正孔捕獲中心としてHP1(E+1.57eV)とHP2(E+1.19eV)を、電子捕獲中心としてEP1(E-0.54eV)とEP2(E-0.71eV)を新たに見いだした。太陽電池特性の変化を調べた結果、110/cm照射によりフィルファクターの劣化が大きくなることで最大電力が急激に減少することがわかった。また、この線量域では、基板の多数キャリアの減少により短絡電流が若干上昇した後、急落する現象も観察された。InGaP太陽電池とAlInGaP太陽電池の特性劣化を比較したところ、AlInGaPの方が耐放射線性に優れており、宇宙応用に適していることが示唆された。
Ekins-Daukes, N. J.*; 新船 幸二*; Lee, H. S.*; 佐々木 拓生*; 山口 真史*; Khan, A.*; 高本 達也*; 安居院 高明*; 上村 邦夫*; 兼岩 実*; et al.
Proceedings of 31st IEEE Photovoltaic Specialists Conference and Exhibition (PVSC-31), p.683 - 686, 2005/00
GaAs基板上に作製した格子不整合InGaAs及びInGaP太陽電池中の真性及び照射欠陥をDLTS法により調べた。InGaAs作製後に300Cから800Cでの熱処理を繰り返す熱サイクル処理(TCA)により真性欠陥準位であるH1中心及びE3中心が減少し、太陽電池特性が向上することが見いだされた。また、これらの太陽電池に1MeV電子線を照射し、発生する欠陥を調べたところ、照射量の増加とともにE1, E2, H1, H2中心が増加することが明らかとなった。
Chandrasekaran, N.*; 曽我 哲夫*; 犬塚 洋介*; 田口 裕規*; 今泉 充*; 大島 武; 神保 孝志*
Japanese Journal of Applied Physics, 43(10A), p.L1302 - L1304, 2004/10
被引用回数:6 パーセンタイル:27.83(Physics, Applied)シリコン(Si)基板上のガリウム砒素(GaAs)太陽電池(GaAs/Si)の宇宙応用の可能性を調べるために、100keV陽子線を照射し、電気特性の変化を調べた。GaAs/Si太陽電池はMOCVD法を用い作製した。また、比較のためにGaAs基板上にGaAs太陽電池(GaAs/GaAs)も作製した。室温にて310から310/cmの100keV陽子線を照射した。その結果、短絡電流の変化にはGaAs/Si及びGaAs/GaAsでの差異は見られなかったが、開放電圧に関しては110/cmまではGaAs/SiはGaAs/GaAsに比べ優れた耐性を示すことが明らかとなった。また、110/cm以上ではGaAs/SiもGaAs/GaAsの開放電圧の劣化は同程度となることが判明した。
川北 史朗*; 島崎 一紀*; 今泉 充*; 桑島 三郎*; 依田 真一*; 大島 武; 伊藤 久義
Proceedings of the 6th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Application (RASEDA-6), p.151 - 154, 2004/10
地上試験において観測されたCu(In,Ga)Se太陽電池の放射線劣化特性の回復現象を考慮することで、民生部品実証衛生MDS-1を用いた宇宙試験でのCu(In,Ga)Se太陽電池の特性変化を解析した。バンアレン帯を横切る軌道を周回するMDS-1での1年間の試験後においてもCu(In,Ga)Se太陽電池の発電特性はほとんど劣化せず、開放電圧が約1%のみの低下という非常に高い耐放射線性が確認できた。MDS-1軌道の平均温度(70C),同程度の温度における地上試験で得られた劣化の回復率110/s(短絡電流)及び210/s(開放電圧)、並びにMDS-1軌道での放射線量を考慮して太陽電池の特性変化を解析した結果、放射線照射による劣化と熱アニールによる回復が同時に起こり、結果的に、軌道上では無劣化になると考えられ、軌道での実証試験結果と地上試験データを用いた計算結果に良い一致が得られた。
岡田 浩*; 夏目 聡*; 若原 昭浩*; 吉田 明*; 大島 武; 神谷 富裕
Proceedings of the 6th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Application (RASEDA-6), p.147 - 150, 2004/10
カルコパイライト系の薄膜太陽電池の放射線劣化機構解明のために真空蒸着法やRFスパッタ法で作製した多結晶や単結晶CuInSe薄膜の陽子線及び電子線照射効果を調べた。加速エネルギー380keVの陽子線,2MeVの電子線を室温にてCuInSe薄膜へ照射した。その結果、陽子線,電子線ともに照射量の増加とともに電気抵抗が上昇した。抵抗上昇の温度依存性を測定し、比較したところ、電子線照射の場合、110/cm以下の照射では結晶粒界を越えて電流が流れるための活性化エネルギーが33meV減少したのに比べ、210/cm照射では53meVとなった。同様の変化は陽子線照射においても観測され、510/cmの照射により9.7meV低下することが見いだされた。
Ekins-Daukes, N. J.*; Lee, H. S.*; 佐々木 拓生*; 山口 真史*; Khan, A.*; 高本 達也*; 安居院 高明*; 上村 邦夫*; 兼岩 実*; 今泉 充*; et al.
Proceedings of the 6th International Workshop on Radiation Effects on Semiconductor Devices for Space Application (RASEDA-6), p.87 - 91, 2004/10
高効率太陽電池への応用が期待される格子不整合系InGaP太陽電池(InGaP)へ1MeV電子線を照射し太陽電池特性の変化を調べた。その結果、310/cm程度の照射により、一時的に短絡電流が増加するという特異な振る舞いが観測された。この原因を調べるため分光感度特性を調べたところ、長波長側での光吸収が増加することが明らかとなった。さらに、キャリア濃度を調べた結果、キャリア減少率が1.3/cmであると見積もられた。このことより、310/cm程度の照射により太陽電池基板の多数キャリアが減少し、その結果、一時的な空乏層長の伸長が生じ、より深部(長波長の光により発生した)のキャリアが収集されて、短絡電流が一時的に増加しすると結論づけられた。
Ekins-Daukes, N. J.*; Lee, H. S.*; 佐々木 拓生*; 山口 真史*; Khan, A.*; 高本 達也*; 安居院 高明*; 上村 邦夫*; 兼岩 実*; 今泉 充*; et al.
Applied Physics Letters, 85(13), p.2511 - 2513, 2004/09
被引用回数:11 パーセンタイル:42.77(Physics, Applied)1MeV電子線照射による格子不整合InGaP太陽電池の多数キャリア減少効果を調べた。基板のキャリア濃度が110/cmの場合のキャリア減少率は格子整合InGaP太陽電池と同様の1.3/cmであった。また、310/cm照射により短絡電流が一時的に増加する現象が観測された。キャリア濃度の減少を考慮し考察を行った結果、キャリア濃度現象により一時的に空乏層が伸長し、その結果としてより深部で発生したキャリアが発電に寄与するためと帰結できた。